レアな国際情報Tomo通信

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【中国駐在者の今、隔離政策と企業再稼働の矛盾】

  今中国は新型コロナウイルスの感染拡大から次の段階に入りつつあります。中国国民はもとより、中国で就業している外国人も日々不安を抱えながら生活しています。私も長い間中国で生活してきましたが、民主主義国家とは異なる場所でどのようなことが起きているかを事例をあげてみたいと思います。

 

-日本人駐在員の処遇-

 

 新型コロナウイルスは、昨年12月末頃よりにわかに報道され、春節を迎える1月24日頃には報道も増え騒がれていました。通常、日本人駐在者は春節の少し前くらいから日本に一次帰国する人が多く、1週間から10日後の2月初旬には中国に戻るといったスケジュールが一般的でしたが、今年はその頃には新型コロナウイルスの感染が拡大していたために、中国に戻る日程を遅らせた人も多くいました。

 特に2月中旬から以降に中国に戻った日本人は、中国に到着後2週間は自宅待機(隔離)を命じられ外に出られない状況です。これは日本人(その他外国人も同じ)に限らず、中国人においても他の地区から移動してきた人は自宅隔離通知書を配布され2週間の自宅隔離が義務付けられています。

 中国は各地方政府により対処方法が異なりますが、特に日本人駐在者の場合は、居住しているマンションの部屋のドアのところに、監視カメラを設置されその人が勝手に外出しないか監視している地区もあります。さすがに部屋の中にまで監視カメラは設置されませんが、共産党ならではの人権もプライバシーも無視した対策です。

 

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-責任を下へ下へ押しつける共産政権-

 

 未だに閉鎖されている武漢市の状況は明かされていないため実態はわかりませんが、その他の地区では企業の再稼働が始まっています。ただし、人、モノ、カネが全て寸断されていたので、フル稼働までにはまだ時間を要すると思いますが、これ以上、企業の稼働を止めることもできないので、政府は矛盾していることを地方政府に押しつけ始めています。

 

「各企業を早期に再稼働させよ。ただし、感染者を増やすことは許さぬ!」

 

 まだ感染が終息していない状況で、企業を再稼働させればそこに人が集まります。少しでも感染している人が居れば、また他の人へ感染することは当たり前です。企業で感染者が一人でもでれば、その企業は営業停止になります。結果、地方政府はその責任を企業に押しつけます。

 

 中央政府 ⇒ 地方政府 ⇒ 一般企業  責任転嫁

 

問題が発生すれば全て企業の管理責任とする。政府は責任を取らない共産党の常套手段。

 

 

-今後の中国経済はどうなるか―

 

 現段階で中国各企業は約1カ月半ほどの間、事業を停止しています。元々中国企業は日本企業と異なり、内部留保を蓄えることはぜずにその資金を更なる事業拡大に使うことが多いです。その為、今回のような問題が発生し事業が停止すると、収益が無い状態で固定費だけが発生しますが、手持ち資金が少ないために体力が無いので短い期間でも枯渇する企業が多いです。今言われているのは、2カ月の事業停止で資金が枯渇する企業が50%、3カ月の停止では80%くらいの企業が資金不足になると言われています。

 現在、中国では感染拡大が4月には収束とも報道されていますが、4月に収束しても企業に与えるダメージは大きく更に収束が遅くなれば、中国経済全体が危機的状況になります。特に今まで中国経済を支えてきた不動産やインフラ事業は、多大な資金を借り入れして事業を展開してきていますが、今年3月、4月には返済の時期も迎えます。近年、人民元での資金調達が難しくなり外貨(米ドル)で高金利での調達が増えていましたが、金利も払えない状況になる可能性が高いです。

 

 まだ日本でもその他の国においても感染拡大していますが、一刻も早く感染拡大が収束することを願うばかりです。