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歴史からみる世界の覇権、中国は世界の覇権国家にはなれない。

 今までの世界史をみてみると、世界の覇権国家の始まりは15世紀のヨーロッパからですが、それぞれが海洋国家であったという共通点があります。海洋国家であったがゆえに莫大な富を生み国力を増大させました。また経済的な部分だけでなく、軍事的にも海は重要であったことがわかります。

 現代はアメリカが世界の覇権国となっていますが、その座を中国が虎視眈々と狙っています。これから将来、中国が世界の覇権国となる時代はくるのでしょうか。

 

 

-西ヨーロッパ覇権の歴史-

 

□スペイン

 15世紀から16世紀にかけて、スペインはマヤ文明アステカ文明、インカ文明を征覇し、コロンブスの「新大陸発見」により世界の覇権国となった。大きな富を独占したスペインは「太陽の沈まぬ帝国」として、その後の西ヨーロッパの繁栄に繋がっていく。しかし、スペインはアジアには大きな植民地を持っておらず、その後、八十年戦争、アルマダ海戦などで次々と敗北して制海権を失い、大きな富はオランダへ流れていった。

 

□オランダ

 オランダは元々スペインの支配下だったが17世紀に独立を果たした。オランダはバルト海の覇権を握り東インド会社を設立して植民地貿易としてアジアに進出していった。この頃、ヨーロッパ全体の船舶の50%はオランダ船だといわれており、輸送、決済(金融)をオランダが握りそこから大きな利益を得ていた。しかしその後、人材や資産が他国に流出しはじめ、更にイギリスとの3回にわたる戦争に敗北して衰退していく。

 

□イギリス

 18世紀にイギリスは産業革命により発展し、産業を柱とした資本主義が進んでいく。そして、植民地帝国としてインド、中国、アメリカ、アフリカ、オセアニアを傘下に収めていき、「黄金時代」を確立していく。

 しかし、次々と植民地を増やしそこから富を奪うことが中心となったために国内産業が停滞し経済が弱体化していった。その後、第一次世界大戦でイギリスは勝利したが、戦争による疲弊も影響しアメリカに覇権を奪われることになる。

 

 簡単に15世紀から始まった覇権国の歴史を記しましたが、いずれも共通することは海洋国家としての発展が覇権国になるキーワードであったということです。

 

-今後中国は世界の覇権を握れるのか-

 

今後の中国が世界の覇権を握ることができるのか。結論から言えばあり得ないでしょう。

 

いくつかの理由と根拠を考えてみましょう。

 

  1. 今までの歴史の中で、覇権争いにあるNo.2の国が覇権を取ったことはない。例えば、フランス、ドイツ、ロシア(旧ソ連)等。覇権国が衰退して替わる時は当面の間は覇権国が存在しないか、全く別の国家が覇権と取ってきた。
  2. 社会主義国共産主義国が覇権国になることは、世界中の人々やその他の国家が認めない。歴史からみて、ナチスドイツ、ソ連、または現在の中国、北朝鮮のような独裁で人権を無視する国家が世界の覇権を握れば世界が崩壊する。
  3. 今の中国は、共産党の求心力が薄く(特に習近平の求心力はない)経済もかなり減速しているため今後更に国が不安定になってくる。
  4. 国際社会から敬遠されてきている。中国は2015年頃までは大きな経済成長と習近平が掲げる“一帯一路”をもとに、世界各国に資金をばらまいてきたが、全ては中国が世界の覇権を握る為の戦略であったことに皆気付いている。今まではドイツやイギリスもかなり中国に経済依存してきたが、最近は変わってきている。
  5. 現在の覇権国であるアメリカ大統領がトランプである間は、中国はなにもできない。

 

-今後の世界覇権はどうなっていくのか―

 

 将来的に世界の覇権はアメリカが握っていくと思われますが、今の時代は予測不能な要素が多々あると思います。アメリカはトランプ大統領になってから経済は好調になりましたが、“アメリカファースト”を第一に掲げ、自国の利益のみを追従しています。この一人の大統領の裁量次第でアメリカだけでなく、良くも悪くも世界に影響が及びます。また、アメリカだけでなく、他国のトップが誰になるかで世界の方向性が変わってきます。

 

冒頭で世界の覇権を握ってきたのは、海洋国家であると書きましたが、今の時代は軍事力、経済力はもとより、“宇宙戦略やサイバー戦略”が大きな要素を占めてくるでしょう。

 

我々一般の人間が知らない、見えないところで戦争や金融取引が行われ、それにより世界の動向が左右される恐ろしい時代になってきたのではないでしょうか。