レアな国際情報Tomo通信

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【最近、静かになっている北朝鮮の思惑は何か?】

  今年に入ってから北朝鮮の目立った動きが無くなっています。昨年の12月初めには、「12月下旬には中央委員総会を開き“重大な問題”を討議、決定する」とアメリカとの交渉期限を年末までと強気に発表していたが、結局、何もアクションは有りませんでした。

                                                    

 今、北朝鮮で何が起こっているのでしょうか?

 

 

トランプ大統領の思惑-

 

 アメリカは1月3日にイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害しました。

コッズ部隊とは特殊工作部隊で、主に海外での破壊工作を担当している組織です。ソレイマニ司令官は、バグダット国際空港から車で移動中にドローンからの空爆で死亡しましたが、アメリカはどのような施策でソレイマニ司令官を追跡し、殺害実行に至ったのでしょうか。

 一般的に偵察衛星で追跡していたのではという情報がありますが、偵察衛星は高度約500キロにあり、地球を1時間半で周回しています。現代の衛星は地上の小さいものも認識できると言われていますが、高速で移動しているため認識できるのは一瞬だけなので、継続して追跡することは不可能です。ではどのようにして追跡していたのでしょうか。これはアメリカの機密事項なのでここからは憶測になりますが、ステルス性能をもった無人偵察機とソレイマニ司令官が使用していた携帯電話からGPSで位置を認識していたのではないかと言われています。

 

トランプ大統領は、このソレイマニ司令官殺害した目的の本意は何だったのでしょうか?

 

勿論、イランに対してのアクションであったことは間違いないですが、その裏では北朝鮮金正恩に対する“牽制球”でもあったと思われます。

 

 

金正恩の心境は―

 

 今年に入ってから北朝鮮の動きが静かになり、最近ではニュース報道もなくなっていますが、アメリカがソレイマニ司令官を殺害したことで、金正恩が大きな危機感を感じていることは間違いないでしょう。イランにおいては何年も前からアメリカの動きには警戒をしていたでしょうが、ソレイマニ司令官がピンポイントで殺害されたことに金正恩は脅威を感じているはずです。アメリカは今までにもウサマビン・ラディン殺害やサダム・フセインアメリカが拘束後死刑)の事例もあります。

 

 また最近では、金正恩は1カ月近く姿を現していません。健康状態が悪いということも言われており、1月初めにはフランスから北朝鮮に医師を派遣し、狭心症の手術をしたという情報もあります。1月の韓国の報道では、昨年末に開かれた朝鮮労働党総会で、妹の金与正が金正恩の後継者に内定と伝えており、この金与正が指示文書を党の各機関に下していると報道しています。(今までに金正恩以外の名前で指示が下されたことはない)

 

 いずれにしても、今、金正恩は窮地に立たされていることが考えられます。

 

 

-2020年は波乱の年に-

 

アメリカはソレイマニ司令官の時と同様に金正恩の動向も随時把握しているものと推測されますが、今トランプ大統領は、それらの動向を見ている状況ではないでしょうか。

今年の大統領選に勝利するまでは大きなアクションはしないのではないでしょうか。

 

また、新型コロナウイルスの問題で、北朝鮮はいち早く1月の段階で国境を封鎖して、空路と列車の往来を禁止しました。ただし、中国との国境では一部の貿易は行われており、物資が北朝鮮には入っていましたが(実際には国連決議違反の密輸になる)、これも最近になって停止をしています。モノだけでなく中国人観光客の受け入れも停止したため、外貨収入もなくなっているので、モノ、カネ共に不足になり、今後北朝鮮国内が更に厳しい状況になっていくでしょう。

 

今年2020年は、中国の新型コロナウイルスに始まり、その結果次第では北朝鮮に限らず他の国々にも多大な被害が発生する可能性が高くなっています。これからの状況を更に注視していく必要があります。